一般社団法人日本アスレティックトレーナー・アカデミー

メッセージ~高松与志之~

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 今、子どもたちの運動会で、一番怪我をする部分を知っていますか? 私たちの頃は、ひざ小僧や、ひじなどには、転んで出来たカサブタや、赤チンの跡が常にあった思い出がありますが、今現在多くの小学校の運動会で調べたところ、なんと顔面を怪我して血だらけになって保健室に来る子どもたちが、年々増えているという結果がでています。
 その原因は、驚く事に、徒競走(かけっこ)や、走る競技で転んだときに、手を地面に真っ先に付けない子どもたちが増えているという、私達には信じられない事がおこっているのです。
 転んだときに手が出ない。これでは、直接顔で体を受け止めるしかありません。何という悲しくも悲惨な事なのでしょうか。また、私たちのスポーツ振興事業で、短距離のタイムトライアルを、全国の公共スポーツ施設で開催する事が多くありますが、ヨーイドン!の合図で走り出す子どもたちの何人かは、陸上競技場の幅広いコースを蛇行して、何故か、ラインをはみ出しながら走ってしまうのです。
 この他にも、子どもたちの運動の状況を調べていくと、真っ直ぐに走れない以外にも、ボールを投げられない、立ち幅跳びが出来ない等の、基本の運動が出来ない子どもたちが増えている事も分かってきました。どうして? なぜ? なにが変わってきたのか? 何の原因で子どもたちの運動能力がこれほどまでにも下がってきたか?
 この問題は、これからの日本のスポーツ力の基盤を、大きく揺るがせる危機である事を現実的に表しているのです。これでは、国民のスポーツ振興や、体力強化、健康向上という重要な社会課題に対して、間違いなく大きくマイナスな影響を及ぼしている事に間違いありません。
 この様な状況を危惧しているとき、2011年のフジテレビの朝の情報番組で、子どもの足の変形を訴える特別取材番組があり、タイミングよく視聴できた私は、この近年の子どもたちの足の変形が、スポーツの世界で活動する私たちにとって、どれだけ大きな悪影響を及ぼしているのかを簡単に想像することができました。そして、この問題に対してどの様な対策が必要かを知るために、すぐさま本格的に準備調査を開始し、約3年間をかけて調べてきた事から、次のような幾つかの重大な疑問が出てきたのです。

  1. なぜ、広く多くの人たち、特に保護者の皆様が、自分の子どもたちの足の変形に気が付いていないのか
  2. なぜ、スポーツ振興やスポーツ指導支援をおこなっている直接の関係者が知っていないのか
  3. 小中高大学の、学校体育の関係者の方々も、この事実を知っていないのか
  4. 保健体育の関係者が、足の変形に対してなぜなにも対策を施さないのか
  5. スポーツ用品メーカーや、スポーツ用品販売企業が、この危機を正面から取り上げて対策を講じないないのか(後手に回るインソールの販売や新しいシューズの販売には熱心であるが…)
  6. なぜ国を挙げて変形の原因が特定せず、しかも対処法を研究していないし、当然予防も啓発していないのか?等などの疑問が湧き上がります。

 そこで私たちは、この重大な問題に真正面から取り組む為に、新たに専門研究を行う為の研究会を2009年に立ち上げ、数多くの子どもたちを実際に測定し、現状把握/原因究明/対策実施/経過観察などの活動を開始し、数多くのデータ検証と考察を繰り返してきました。この3年間の研究活動の結果、これまで変形対策の対象としていた小学生だけではなく、中学生と高校生に関しても、足部の成長に関するさまざまな障害が、スポーツを行う彼らの妨げになっている事が分かってきました。そこで、これらの研究調査活動を活かし、今後の日本の未来を担う総ての子どもたちの正しい成長を支援する事を主たる目的として、JATA(日本アスレティックトレーナー・アカデミー)の一つの重要な活動として、フットラボ事業部を立ち上げました。
 この事業部は、行政支援研究所の観点から、全国の公共スポーツ施設を基盤としたスポーツ振興事業として推進する為に、Y’s Athlete Supportの視点から、スポーツ医科学とアスレティックトレーニングのスキルを活かした対策プログラムの開発と実施を、更に東京医療保健大学の山下研究室による医療科学の観点の3方向から、今後さらに本格的な調査研究活動を推進していく所存です。
 日本の子どもたちの、元気で正しい成長に対して、皆様方のより一層のご理解と、今後の改善に向けてのご協力をいただきながら、精力的に活動を行っていきますので、ご理解、ご支援を何とぞ宜しくお願いいたします。

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